なかなか寝付けない方、寝ても深い眠りに入れない不眠症の方に朗報をお届けします。
体内時計のリズムを生み出すメラトニンを知れば不眠症は解消できる!!
メラトニンは体内時計の調整役
メラトニンは体内時計の調整役として知られており、睡眠を誘導し深い眠りに導くホルモンであり、睡眠ホルモンとも言われている。
メラトニンは夜間暗くなると分泌が始まり、次第にその分泌が高まり眠気を誘います。
同時にメラトニンが分泌されると副交感神経が優位になり体温を低下させ、気持ちを落ち着かせ心も身体も休息の準備に入っていきます。
逆に日が昇り、周囲が明るくなってくると網膜が光を感知し脳ではセロトニン(身体を起こすホルモン)が分泌され、それを受けてメラトニンは分泌が止まる。
そして次第に脳や身体が活性化されてきます。
このようにメラトニンはセロトニンと協力して体内時計を調整していきます。
メラトニンの分泌が異常をきたすと睡眠のリズムが崩れ不眠症をきたすのはこのためです。
メラトニンの生成材料
メラトニンを生成する過程は2段階になっており、まず必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンが生成されます。
次に、トリプトファンから生成したセロトニンからメラトニンを生成します。
つまり、①トリプトファン → ②セロトニン → ③メラトニン となるわけです。
※トリプトファンは、食品で取り込む必要がある必須アミノ酸であるため体内で生成することはできない。
※トリプトファンはタンパク質に含まれている成分であり肉や乳製品に含まれている。
メラトニン生成の原材であるセロトニン
セロトニンは昼間に生成され、分泌されるとともに松果体に蓄えられます。
セロトニンの生成には太陽光などの強い光が必要で、2,500ルクス以上である事が望ましいと言われています。
ちなみにセロトニンは昼間に良く分泌される脳内物質です。
なぜ昼間に良く分泌されるかと言えば、セロトニンが分泌される上で、太陽光のように2,500ルクス以上の強い光を浴びることが重要だからです。
蛍光灯では400ルクス程度の光で、テレビ撮影など特殊な場面でも1,000ルクス程度と言われています。これでは、セロトニンの分泌は促すことは難しいです。
太陽光の場合は、晴天下で10,000ルクス、曇っていても32,000ルクスの光が得られと言われています。
このような理由から、太陽光が得られる昼間に、セロトニンが活発に生成され分泌されるんです。
そして、暗くなって来ると松果体に蓄えられたセロトニンを材料にしてメラトニンが生成され分泌されます。
メラトニン分泌の司令塔
ホルモン分泌の司令塔である視床下部からの松果体に対して分泌の司令が下りメラトニンは分泌されます。
通常、目覚めから15時間前後から分泌が始まり、暗くなると一気に分泌が高まります。
メラトニンが多く分泌されるのは幼児期(1~5歳)であり歳を重ねと次第に分泌量が減少していく。
歳を取りメラトニンの分泌量が減少して来ると睡眠時間が短くなって来るのはこのためである。
司令塔である視床下部の働き
視床下部は様々な働きに関与しており、その調整を司っています。
そのため一つの調整が上手くいかなかった場合、身体の様々な部分で調整が上手くいきません。
- 自律神経のバランスを調整
- 内分泌系の調整
- 食欲や飲水を調整
- ホルモンの調整
- 体温の調整
- 情動面の調整
メラトニンは他にも作用がある
メラトニンには抗酸化作用もあり、正常な細胞のサビ付きを予防し生活習慣病の予防や老化を緩やかにする働きがあります。
メラトニンはリンパ球や単球を刺激し免疫力を増強するサイトカインというタンパク質の分泌を促進させます。このサイトカインはヘルパーT細胞やキラーT細胞に働きかけ免疫力を増強します。
メラトニンの分泌を促し、不眠症を解決する方法
①朝起きたらまず太陽の光を浴びる
太陽の光を浴びることにより、一旦メラトニンの分泌をリセットさせ、15時間前後の分泌のスイッチを入れましょう。
また、太陽の光はメラトニンの前駆物質であるセロトニンの生成と分泌を促します。15時後の分泌に備え、セロトニンを蓄えておきましょう。
②生活のリズムを意識する
メラトニンの司令塔である視床下部は多くの働きを同時にこなしています。そのため、一つのリズムが狂うと多くの影響がでます。例えば、寝不足の時は暴飲暴食をしてしまったり、失恋して食欲が無くなったりした経験があるでしょう。また、興奮する出来事があったら寝付きが悪くなかなか寝れない。
みなさんもこの様な経験をした事が1度や2度あるのではないでしょうか?
この様に視床下部の働きは日常生活に大きく左右されます。
逆に規則正しい生活は視床下部にリズムをつけ、適度な時間に適度なメラトニン分泌を促します。
なるべく規則正しい生活に心がけ、穏やかな生活を送る様にしましょう。
③寝るときには電気やテレビを消す
メラトニンの分泌は暗くなると活発になります。逆に明るいと分泌が鈍くなってしまいます。ソファーなどで寝落ちして起きたら、なんか寝た気がしないのはこのためです。
寝るときには電気と、テレビを消し、静かな環境で寝ましょう。
④ぬるめのお風呂に入る
熱い風呂に入ると交感神経を刺激して、興奮性が高まります。そうなると、身体は戦闘モードに入ってしまい、メラトニンの分泌は抑制されてしまいます。
ぬるめのお風呂でリラックスし副交換神経を優位に働かせて身体と心の寝る準備を行いましょう。
⑤寝る前のコーヒーは控えましょう
コーヒーにはカフェインが含まれており、覚醒を促す作用があります。また、興奮性も高めるとも言われており、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠を妨げてしまいます。
寝る前にはホットミルクやホットココアなどで少し胃を暖めてあげると眠気を誘いメラトニンの分泌が促されます。
⑥過度なストレスから解放されましょう
過度なストレスは交感神経を強く刺激し、身体と心が常に戦闘モード状態となってしまいます。そうなると身体と心が疲弊しても寝れない状態になってしまいます。仕事や家庭でストレスがかからない工夫をしましょう。
過度なストレスは不眠症になりやすいので、ストレスがかからない生活を意識して送りましょう。
⑦適度な運動を行いましょう
激しくなく、リズムを刻む様な運動はメラトニンの素になるセロトニンの分泌を促すと言われています。
具体的にはウォーキングやジョギング、サイクリングなどが良いとされており、歩くのが難しい方は椅子から立ち上がることをリズム良く繰り返し行なうと良いです。
日常生活に運動を行なう習慣を組み込みましょう。
⑧食事に気をつけ、サプリメントを摂取する
食事から充分なメラトニンを摂取する事は難しいのが現状です。また、メラトニンのサプリメントは日本では認可が下りていないので販売されていません。
メラトニンの前駆物質である必須アミノ酸であるトリプトファンをしっかりと摂取して、メラトニンの生成を助けましょう。
1日あたりのトリプトファンの必要摂取量は、体重1kgにつき2mgと言われています。
つまり50kgの方であれば100mgの摂取がのぞましとなります。
また、不眠症に対しては500〜1000mgに摂取が紹介されています。
同じく50kgの方であれば2500〜5000mgの摂取となります。
100g摂取あたりのトリプトファンの含有量は.肉であれば200mg。魚であれば200〜300mg。米であれば100mgとなっており通常であれば日々の食事で充分な摂取が可能です。
不眠症の改善を目的とした場合は、食事のみでの摂取は難しい様です。
トリプトファンはサプリメントとして販売されていますのでサプリメントで摂取する事も検討していいと思います。
まとめ
不眠症には様々な因子が関与しており、心理的な影響も大きいのです。
もし今日寝れなくても何も怖くありません。
一生寝ない方はいないので、必ず寝るときが来ます。眠たくなるまで静かに待ちましょう。
また、世の中にはショートスリーパーの方もいらっしゃいます。睡眠が短くても気にする必要はありません。
まずはここで紹介した事を実践して寝むりやすい環境を整えましょう。